2010年9月15日水曜日

五重塔のおはなし

五重塔それは、お釈迦さまのご遺骨を奉安する仏塔の形式のひとつです。
仏教の開祖であるお釈迦さまが亡くなられた時、その遺骨は8つに分骨されて、その当時のインドの8つの主な部族に渡されました。
8つの部族はそれぞれに頂いた仏舎利を、塔を建ててその中に安置しました。この塔のことを、古代インドの言葉で「ストゥーパ」といいます。このストゥーパが五重塔の起源です。
五重の塔はなぜ五重か・・・その5つは、この世を形づくる五つの基礎となるものを表しています。その五つとは、「地」、「水」、「火」、「風」、「空」です。 これを「五大」と呼びます。
仏教徒がお寺での法要などで表に故人の戒名などを書いて仏前に立てる板を卒塔婆(そとば)といいます。この語源も、ストゥーパです。
卒塔婆の頭には、「地」、「水」、「火」、「風」、「空」を表す形が刻みこまれています。卒塔婆を立てるということは、五重の塔を建てることと同じ意味があります。

塔の構造
耐震性の高い塔の構造は「柔構造」の理論を用いています。日本はもちろん世界の超高層建築に採用されているそうです。但し、日本古来の五重塔や三重塔が持つ構造に関しては、まだ工学的には解明されていません。その、心柱が独立していて他の構造体と接していないという構造の耐震性に関しては、忠実に再現された模型を使った耐震強度実験も行われていますが、それでも、そのメカニズムは未だ明らかになっていないそうです。

総本山善通寺の五重塔
香川県の山、五岳山を借景に、讃岐平野に悠然とそびえる総本山善通寺の五重塔は、創建1200年祭を間近に控えた塔です。この日本独自の木造建築物は大風や火事による倒壊はあるものの、地震による倒壊の記録は残っておらず、免震構造の優れものといわれています。善通寺の場合、塔の中心を貫く心柱が鎖でつり下げられ、礎石から約6センチ浮いた「懸垂工法」です。全国でもあまり施工例のない珍しい木造塔だといえます。
先人はなぜ柱を浮かそうと考えたのだろう。もう少し調べてみたいです・・・。

全国の塔で三番目に高い善通寺の五重塔。懸垂工法が用いられている点で珍しく、木造の多層塔としては国内最大規模。地震に強いとされる木造塔の基本的な特性が認められています。